サイコドラマ(Psychodrama)とは?

  サイコドラマは、ルーマニア出身の米国人ジェイコブ・レヴィ・モレノによって創始された
集団精神療法です。
.私たちの人生は様々な人間関係が作り出す数々の出来事で成り立っています。それは
私たちが人としてのあり方を学ぶために、社会の中で体験していく重要なプロセスといえ
るでしょう。
 サイコドラマは、私たちが抱えている様々な問題の整理や、新しい視点による解決の
方向を探り、個々の人生や日常生活の改善に向けての、新たな一歩を踏み出す機会を
創り出します。


【サイコドラマの始まり】

 モレノは1917年にウィーン大学にて医学博士の学位を取得後、医師として活動します。
その当時に「子供達の劇場」と称した即興劇を活用した療法を試みます。その後、家族の
ための療法、難民キャンプでのグループワークなどを通して「即興劇場」というサイコドラマ
の原型を確立させました。
 その後1925年にアメリカに移住し、心理療法としての即興劇や集団測定法としての
「ソシオメトリー」を開発するなど、米国集団精神療法学会において重要な役割を果たします。
1936年にニューヨーク州ビーコンに「ビーコンハウス」というサイコドラマのスクールを開設
します。
 この地において多くのサイコドラマティストを誕生させたモレノは1974年に他界しました。
 彼の没後はその妻、ザーカモレノがその意思を引き継ぎ、現在もサイコドラマの世界的
指導者として活躍しています。


【サイコドラマの特徴】

サイコドラマは、監督、演技者、観客、補助自我、舞台という5つの要素で構成されます。
1.監督…サイコドラマの総責任者。
2.演技者…主役や脇役となって実際にサイコドラマの中で役割を演じる人。
3.観客…展開されるサイコドラマを観る人。
4.補助自我…サイコドラマの助監督で、監督や演技者助ける人。
5.舞台…観客と演技者分ける働きがあり、演技者が自由に演じられる場所。


【サイコドラマの進め方】

サイコドラマには基本的に3つのプロセスがあります。
1.ウォーミングアップ…演じる前の心身の準備の時間。スタートから主役を選ぶまでの
  過程がこれにあたる。
2.サイコドラマの展開…選ばれた主役を監督がインタビューをしながら展開していく過程。
3.シェアリング…ひとつのサイコドラマが終了した時点で参加者で感想を分かち合う過程。
    ※シェアリングで大切なポイントは批判や分析、アドバイスはしないという点である。

参加人数…通常は10名から15名くらいのグループで構成されます。
所要時間…主役中心の古典的サイコドラマの場合で1時間から2時間程度。問題の要因を
        探り、現在から過去の様々な体験を見たり、一場面を象徴的に演じるなど状況
        により多彩に展開する。
        オムニバス形式の場合は、20〜30分程度で行われる場合もある。


【サイコドラマの可能性】

 繁栄と豊かさを謳歌する日本で、多くの人々が不安を抱えながら生きています。かつて地域が
育んでいた精神的なつながりが失われ、人々の心のゆとりもなくなり、孤立感を深めているのが
現代社会の有り様ではないでしょうか。人と人との関係性が希薄になり、人間関係に苦しむ人々、
また社会とのつながりを築けず家に引きこもるという人々が増大し深刻な社会問題になる時代を
私達はどのように受け止めたらよいのでしょうか。

 サイコドラマは即興の手法を用いた集団精神療法です。これまで主に精神を病んだ人々の治療法
という位置づけで、臨床や学術的な場を中心に開催されてきました。しかし、社会が様々な問題で
病み苦しむ時代にあっては、自発性や創造性、精神的適応力を高め育む手法として大きな可能性を
秘めています。

 マグノリアでは、サイコドラマを人と人の心をつなぐ新しいコミニケーション・ツールとして位置づけ、
市民社会への普及と参加者の精神的成長を目的に体験学習の場を提供しています。

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